ずっと、君に恋していいですか?

翌日。

二人で志信の実家に挨拶に行った。

薫は志信の母親から熱烈な大歓迎を受けた。

志信から薫の話を聞いて、会うのをずっと楽しみにしていたそうだ。

物静かな父親は“志信をよろしく頼みます”と薫に頭を下げた。



その翌日には薫の実家に挨拶に行った。

薫の父親は“くれぐれも薫をよろしく頼む、こんな娘だけど、できれば返品はしないでやって欲しい”と志信に頭を下げた。

母親は“薫が好きな人と一緒になれるならそれが一番。これでやっと肩の荷が降りる”と安堵していた。

志信は実家に帰っていた椿から“お姉ちゃんをよろしく”と言われ、菫にもなつかれた。



そのまた翌日。

日取りも良い事から、善は急げと役所に走り、二人で入籍をした。

一度覚悟を決めると肝が据わるのか、お互いにあんなに迷って悩んでいたのが嘘のようだ。

婚姻届を出して、薫は今日から“笠松 薫”になった。

薫は実感がわかなくて、何度も“笠松 薫”と呟いてみた。

志信はそれを嬉しそうに眺めていた。

入籍を済ませた帰り道、前に志信が薫へのプレゼントにウサギのネックレスと指輪を買ったジュエリーショップで、結婚指輪を買った。

お互いの左手の薬指にそれをはめると、なんだかくすぐったい気分だ。

この指輪は接客中でも外さなくて済むね、と薫は笑った。



そして、そのまた翌日には石田や梨花たち、仲の良い同僚たちに集まってもらい、結婚の報告をした。

突然の二人の結婚に、みんなかなり驚いていたが、収まるべきところに収まって良かったと祝福してくれた。

久しぶりに8人揃い、その夜は遅くまで盛り上がった。


盆休みの間は薫の部屋で二人一緒にのんびり甘い時間を過ごし、盆休みの最終日、志信は名残惜しそうに福岡に帰っていった。