ずっと、君に恋していいですか?

薫が涙をこらえながらジョッキのビールを飲み干した時、梨花が紙袋を差し出した。

「卯月さん、これ…。」

その紙袋は`アナスタシア´のショップ袋で、自分がこのブランドが好きな事を梨花は知っていたっけと、薫は首をかしげた。

「…何、これ?」

「預かってたんです、笠松さんから。」

「志信から…?どうして…?」

「クリスマスに渡しそびれたって言ってました。ホントは笠松さんの部屋で使って欲しくて買ったみたいなんですけど…お正月に会った時にも、渡すのをすっかり忘れてたって。笠松さんが福岡に行く前に、なかなか会えないからって預かってたんです。」

「そう…。」

薫はショップ袋をギュッと抱きしめた。

(志信…もしかして、もう会わないつもりだった…?)

紙袋を抱きしめたままうつむいている薫を見て、石田がため息をついた。

「冗談でSS部に異動になるんじゃないかとは言ってたけど…まさか福岡のSS部に転勤になるなんてな。しかも誕生日にここを離れるとは…。」

「…え?誕生日…?」

「うん、だから前日に誕生日パーティー兼ねて送別会やったんだけど…。えっ…もしかして卯月さん、アイツの誕生日忘れてた?!」

薫は石田に言われて、最後の電話で志信が“今日はなんの日か覚えてる?”と尋ねた意味にようやく気付いた。

(そういえば…付き合う前にそんな話、したかも…。)