ずっと、君に恋していいですか?

「近くにいてもなかなか会えないのに、遠距離で続くとは思えないよ。それに…。」

志信の声を遮るように、構内のアナウンスが響いた。

「聞こえない…。聞こえないよ…志信…!」

「元気でな。」

「待って!」

「言っただろ?もう…待てないって…。さよなら、薫…。」

「志信!!」

スマホからは、発信音だけが虚しく響いた。

「志信…待って…。」

薫はスマホを握りしめ、その場に崩れるようにうずくまった。

志信への気持ちも伝えられず、ただ涙だけが溢れる。

(愛想つかされた…。志信に…嫌われちゃった…。)

薫が茫然自失していると、内線の呼び出し音が鳴った。

受話器を上げると、若い女性社員が、タイヤのローテーション作業の客が来店したと告げる。

大声で志信の名前を呼びながら泣き叫びたくても、すべてを捨てて志信を追いかけたくても、仕事はそれを許してくれない。

薫は涙を拭って、頬を2度叩き、オフィスを後にした。