ぼくらのストロベリーフィールズ





体は小さいがセンスがあると言われた。



僕は相手と対峙すると人が変わるらしい。



あ、来るぞ、と思う前に、反射的に体が動くようになった。



パンチやキックを打ち合い、防ぎ、相手が見せた一瞬の隙には必ず当てた。


寝技に持っていかれると弱いため、筋トレも頑張った。



攻撃が当たるのはもちろん痛いけど、


その都度、昔いじめられたときのことを思い出し、胸が熱くなりさらに強くなれる気がした。



練習帰りに、みんなでしゃべったり、アイスを食べたりするのも楽しかった。




『一吾さー、変わったよな』


『え……そう?』



ある日、道場に行く途中。


力くんに意外なことを言われびっくりした。



『転校してきたとき、すげービビってたじゃん』



『だって……』



『俺らはいじめねーよ。お前友達だし。だからもっと自分出せよ』



悲しさとか辛さとかじゃない涙を流したのは、あの時が初めてだった。