『……わっ!』



ガラス張りの扉の奥には、知らない世界が広がっていた。



リングの上には寝技を決める若者。


脇にはサンドバックに拳を打ち付ける高校生らしき人。



力くんのお父さんは昔総合格闘技でいいところまでいった人らしい。



『適当にその辺で見てて』



そう言って、力くんはこの道場の名前が入ったTシャツに着替えた。



指導者らしきおじさんに向かって、一礼をする子どもたち。


力くんの他、同じ小学校の上級生や女の子もいた。



その日は打撃練習を中心としたメニューで。


おじさんの指導に合わせて、何度もパンチやキックを繰り出すみんなの姿を見て、ワクワクが止まれらなかった。



あの中に入れば、

もしかしたら、僕も強くなれるのだろうか。