カーテンの隙間から差し込む光によって目を覚ます。


あのまま2人ですぐ寝ちゃったらしい。



「ん……。うわっ!?」



スマホを見ると朝の6時。


がばりと布団の音を出しながら、私は飛び起きた。



やばい、そろそろお母さんが起きちゃう頃だ!



「一吾くん、私帰るね」


「んー」


「鍵、閉めときなよ」



急いで制服に着替えなおし、カバンを手にした頃。


ぼりぼりと腹をかきながら、ゆっくりと一吾くんが起き上がった。



そのまま彼は棚の中をさぐり、ぽーんと私に何かを投げた。



それは、カーテンの隙間から漏れている朝日に反射して、一瞬だけキラリと光った。



「それで閉めといて」


「え、でも、これ一吾くんの?」


「違う。合鍵」


「…………」


「別に返さなくていいから」


「…………」



これが何を意味するのか私が理解する前に、一吾くんはそのままころんと寝てしまった。



鍵を握りしめたまま、マンションを出る。


今日の始まりを告げる朝の空気が心地よく感じた。




しかし――



「あんたどこ行ってたの?」



こそこそと自分の家に入ると、すぐに母が玄関に向かってきた。