「もう、また一吾くんのこといじめてるの? いや、逆にやられちゃった……?」
倒れている彼らにそう聞くと、
「ちょっとからかおうとしただけなのに。あいつ、まじやべーんだけど」
と唇から血を出している一人、ヒュウガくんが苦しそうに言う。
カバンにちょうど絆創膏が入っていたため、何枚か渡してあげた。
すると、後ろで倒れていた1人が、
「ちょ、今度誰か呼ぶべ」とイライラした様子でよろりと立ち上がる。
「いや、面倒なことなりそうだしいいわ。だってあいつ相当やってるって」
何を? とヒュウガくんに聞くと、彼はこう答えた。
「本物のやつ」
気がつくと一吾くんは1人で公園の出口に向かっていた。
けだるそうに雨の中を歩くその後ろ姿に、いじめられていた頃の面影は、ない。
彼は私の知らないところで一体、何をしてきたんだろう。

