私も最後の一口を食べ終えた時。
ブー、ブー、と床に置かれていた一吾くんのスマホが振動した。
彼はその画面を見た後、ゆっくりと立ち上がる。
「どしたの?」
「浩くんが麻雀やるのに1人足りないって」
「へ? 今から行くの!?」
「ん。片づけは帰ったら自分でやるし。流しに置いといて」
浩くんはバイトで知り合った仲間らしい。
こんな遅い時間に遊びに行くなんて、さすがは不良少年……。
じゃあ、私は帰んなきゃいけないか。
「何? おれと一緒に寝たかった?」
「だからーそういうわけじゃなくて! ……ちゃんと明日学校来なよ」
そう心配する私を家まで送ってくれた一吾くんは、
「考えとく」と言って夜の景色へと消えていった。
母はまだ帰ってきていなくて、1人で自分の部屋に戻った私は、
ぼんやりと今日の出来事を思い出していた。
彼のキッチンでご飯を作って、2人でそれを食べて。
本当に一緒に暮らしているような気がして、ドキドキが止まらなかった。
あ、でも。
私一応女子なのに、料理の腕は尚紀くんより下なのか……。
そういえば、尚紀くん棚もさくさく組み立てていたし、家事全般得意なのかな。
さすが6人兄弟のお兄ちゃんだ。
ちくしょー。絶対いつか一吾くんに美味しいって言わせてやる!