でも確かな彼の声によって、私の中の何かがふっきれた。
私を本気で消そうというナズちゃんの気迫や表情に、頭の中が更にごちゃごちゃになっていく。
考えを整理できなくて、右手でぐしゃりと自分の髪をかきまぜた。
「もーーー! わけわかんない! 何なの!?」
なぜか私は泣きそうになっていた。
両手のこぶしを彼女の肩にがつんと振り落とした。
「痛いっ! 何すんの!?」
目の前のナズちゃんは顔をゆがめている。
こんなクズ女、さっさと殴っちゃえばよかった!
って。私は何てぶっそうなことを考えているんだ!?
「あーーー! もうヤダ!」
私は渾身の力で彼女を再び突き飛ばした。
彼女の体勢はくずれ、後ろの棚に背をつけた後、跳ね返ってきた。
私はその瞬間を見逃さなかった。
頭の中によみがえったのは、一吾くんと空き巣が戦っていた時の映像。
確か、テンポよく踏み込んでから、このくらいまで足を上げて――
イメージ通りに体重を動かすと、ひゅんと風を切る音が鳴った。
ひらりとめくれたスカートの先。
私の右すねはナズちゃんの脇腹をとらえていた。
「うぐっ!」
ナズちゃんは体をくの字に曲げ、ゆっくりと後ずさりをした。
私はその腕をつかみ、左足を床に踏ん張ったまま彼女を無理やり引っ張った。

