「でもあのコケ方ちょっとウケたかもー」
「わかるー。めっちゃ綺麗だったよねー」
「だめだよぉ、そんなこと言っちゃー。のばらちゃんかわいそうだよ~。でも可笑しかったねー」
クスクスと笑う友達とナズちゃんの声を後ろに、私は教室を出た。
歩くごとに肘と心だけじゃなくて、足の痛みも強くなった。
うわ、ひざも摩擦で皮がむけてる……。
保健室に向かう途中、A組の前を通った。
教室の扉近くで一吾くんや尚紀くんがグループでたまっている。
誰かが冗談を言ったのか、ぎゃはははと笑い声が廊下に響いていた。
一吾くんはなんだかんだ言って、学校生活を楽しんでいるっぽい。
「あ、のばらちゃんだー」
その近くを通ると、尚紀くんに声をかけられ、私は軽く笑って手を振った。
そういえば、尚紀くんにも何かお礼しないとなー。
家事で手荒れするかもだし、ハンドクリームとか?
考えごとをしながら、保健室に向けて再び足を進めた時。
「ひゃっ!?」
いきなり一吾くんに腕をつかまれ、びくっと体が震えた。
尚紀くんや他の友達の驚いた表情を背景に、一吾くんの鋭い目線が私を突き刺す。
「…………」
おびえた顔をしているだろう私を、一吾くんは無言のまま引っ張った。
ヒュ~、という男子たちの冷やかし声が響く。
振り返ると、尚紀くんだけは笑っていなかった。

