准クンは毎日学校に行くようになった。
僕も一応高校に行こうと思っていたこともあり、少しずつ朝から行くようにはした。
『お、一吾くんじゃん。朝ごはん食べる?』
いつも時間をずらしていたが、ある日運悪く、母の彼氏と鉢合わせてしまった。
出張のため、たまたま朝が遅い日だったらしい。
『いらない』
『そう言わずにさー。すぐ準備できるから』
結局、空腹に負けてしまい、再び彼氏と朝食を一緒にすることに。
メニューはホットサンドにトマトスープと相変わらず意識が高いものだった。
食べながら『あのさ』とぼそりと発すると、『ん?』と真剣な顔を向けてきた。
『おれが家いるときに母さんとしないでくんない? マジうるさいから』
『あはは、ごめんね。気をつけるよー』
日ごろのイラつきを吐き出す言葉に対しても、その彼氏は薄っぺらい笑顔で普通に返してきた。
しかし、その彼氏は悪気もなくこう続けた。
『一吾くんも多感な年ごろだもんね。もしかしてお母さんのえっちな声聞いて、なんていうの? 興奮しちゃったりする?』
『…………』
僕は無言でトマトスープをカップごと正面に座るそいつにぶつけてやった。
カップはそいつの肩に当たった後、床に落ちて半分欠けた。
赤い汁がテーブルとワイシャツと床に飛び散った。
彼氏は一瞬だけあっけにとられた顔をしたけど、
『あははは、冗談だよ。ごめんごめん』とすぐにへらへらと笑った。
それから、あーあ、これクリーニングで落ちるかな~、と少しだけ困った顔になった。

