ゆらめきながら光が近づき、扉の先は灯りを増した。
見知らぬ足音の正体が視界に現れる、
と同時に。
「一吾くん! 助けて!!」
と私は叫んだ。
「のばら!!」
登ってきた足音は一瞬だけ止まり、
その後、急に1階へと駆け降りる音へと変わった。
「電気つけろ!」
「……っ!」
その声とともに、急いで私は階段の電気スイッチを押した。
急なまぶしさに目をくらませているうちに、
1階から、2人分のけたたましい足音が不規則に鳴り響く。
「のばら、サツ!」
壁に手をつきながら踊り場まで駆け降りた先――。
ニット帽をかぶったマスク姿の男の腕を、後ろから一吾くんが締め上げていた。
「……っ!」
「サツに電話して! あと、ひもかガムテ―プない?」
苦しそうな声をあげるマスク男の足元には、見慣れないカバンが落ちている。
そこから、印鑑や通帳、母のDVDコレクションや父愛用のPS4ソフトが顔をのぞかせていた。
私は急いで110番に電話をかけた。
「あの……3丁目の菜月家です! 今、空き巣が入ってて! はい!」
電話先の声が落ち着いていたおかげで、聞かれた通りに用件を伝えることができた。

