「ちょっと、のばらちゃん聞いたよ〜! さっき尚紀くんと話してたんでしょ? 何で何で?」


D組に戻ると、つけまつ毛をぱちぱちさせたナズちゃんに詰め寄られた。


う……気づかれてしまったか。



「別に。大したことじゃないよー。共通の知り合いがいたってだけ」


「やっぱりのばらちゃん可愛いから、色々友達いるんだぁ」


「いやいや、ナズちゃんの方がいるでしょ。男子によくチラチラ見られてるじゃん〜」


「うっそー? そんなことないって〜」



私が尚紀くんとちょっと廊下で話しただけのことが、ナズちゃんにとっては大事件なのか。


ちょっとめんどくさいな。


尚紀くんとか一吾くんのこととか、

ナズちゃんには詳しく言わない方がよさそうだ……。