一吾くんは敷かれたままの布団をまたぎ、遮光カーテンを勢いよく開けた。
隙間から漏れていた光が一気に部屋全体を包み込み、まぶしくて一瞬だけ一吾くんから色が消える。
光に目が慣れた頃、彼はすでにベランダに出てタバコを吸っていた。
私は部屋に流れてくる副流煙の匂いを感じながらメイクを続ける。
何となくだけど、マスカラをしっかり塗って、
この前背伸びして買った口紅を引いていた。
服は適当なのしか持ってきていなくて、ロング丈のトップスにジーパンだけど。
エレベーターに乗り1階に向かう途中、ぼそりと一吾くんはつぶやいた。
「ご飯とかのお礼だから」
「なにそれ」
「のばらも気分転換して」
状況がまだつかめない私は、彼の後ろをついていくしかなかった。
『私、家政婦みたいじゃない?』
昨日こう伝えてしまったから、
一吾くんなりに気を遣ってくれているのかもしれない。

