「でもそれは、麻衣ちゃんが言う通り逃げてるだけだよな。前に進んではいない」
「……でも、」
「麻衣ちゃんが心配なんだろ?回り道も悪くない。逃げも悪くない。でも、前に進みたいって麻衣ちゃんが言うなら、その気持ちも考えてやれよ」
口を挟もうとした隼人の言葉に被せてまた雅也さんが話す。
いつもの隼人らしくない……
感情に任せて話す隼人を見たことないからか。
そんな姿を見せなかっただけで、私の事を親身に考えていてくれたんだと。
ちくり。
胸にまた針が刺さった。
「……麻衣の言う通りにすればまた原嶋は、」
ずっと口を開かなかった響が、話し出した事で、私達3人の視線が響に集まった時だった。

