扉を開けると、そこには響と雅也さんの姿があった。
私と目を合わせた響は一瞬眉を曲げた後、優しく笑って。
「よお。お騒がせ娘」
からかう様に口にしたのは雅也さん。
カウンター席ではなく、奥のテーブル席に二人は座っていた。
胸が痛む。
ミナも隼人も。
慶太郎も響も。
以前と変わらない態度。みんな全く私を責めないから余計に苦しくなるよ。
俯いて服の裾をギュッと握ると、一度歯を食い縛った。
「私……帰る」
言葉を放つと、二人が作り出していた柔らかい雰囲気が崩れ……私の後ろに立つ隼人が溜め息を吐く。
少しずつ顔をあげて、響の顔を見ると、驚きと哀しみが入り交じった表情。

