「……、」
言おう、と。
覚悟はしたけど。
口が動かない……
まだそんな事されてないって分かってる。
雄大を庇いたくて言葉が出ない訳でもない。
“私が雄大と居ないと裸女が……”
考えただけでもゾッとする。
「麻衣ちゃん?」
慶太郎は優しく私を呼ぶ。
「うん、あの、ね……」
「うん」
急かしては来ない。
私が話すのを待ってくれているんだ。
その優しささえ苦しくなりそうで、一度息をゆっくりと吐いた。
「怖がんなくていい。一緒に居てやるから」
私の腕に添えられていた、慶太郎の温かい手が、優しく上下に動き、私の動揺を抑えようとしてくれて。
まるで呪文のように、言葉が胸に染みる。
うんうん、と私も首を小さく2回振った。

