「幸せなヤツはそんな顔してんのか。お前俺の目見て言えよ?」
やめて。
「原嶋が好きだからこうやってんのか」
「……」
「泣くように笑うのがお前の特技なのか」
「……」
「原嶋の為にはお前が犠牲になるのか。そうしないとお前は幸せになれねぇのかよ」
壊れてしまう。
鋭い瞳が私の胸の奥まで響く。
体が冷えている気がするのは。床に座っているからではない。
慶太郎の目が、冷たい様で熱いから。
嘘を吐かなければいけないのに、今から自分が吐く言葉に。
頭が……心が……
蓋をした自分の気持ち。氷にした秘めた想いを溶かされていくのが分かるから。
「分からないとでも思ってんのかよ」
表情は変わらない。無表情で呟く吐息もリアルで。

