「無用心にも程があるぞ。お前」
カチャリと。
音を立てて扉が開かれたソコに現れたのは……
「なんつー、顔してんだよ。麻衣」
「ふ、ひ、」
「ふひ?何だそれ」
「……」
こんな時ばっか、真面目な顔してんなよ。
いつもは麻衣ちゃんって言うくせに。
優しい顔で、しゃがんだ私に視線を合わせる様に腰を屈めたのは、金髪のライオン。
「慶太郎が……来るとは思わなすぎて。変な声出た」
「変な声じゃなくて出すなら、いやらしい声にしろ。そして涙を出し惜しみすんな。ほら、泣け」
そう言って私の頭に手を伸ばした慶太郎は。
何の躊躇もなく私の頭を抱き寄せて。
視界が慶太郎の体で暗くなった事で目を見開き、体が固まった。

