お母さんに抱きしめられたくて。
誉められたくて頑張っていた幼少期。
そんな私を見て育った雄大も、何か感じることがあったんだと思う。
兄妹だけど、本当の兄妹ではない私達。
普通の家族とはやはり流れている空気から違うだろう。
あの日。
脅した様に見せかけて、お母さんから私を守ろうとしてくれたかもしれない。
そう思うと、雄大を嫌いにはなれなかった。
何より、小さな頃から過ごしてきた時間がある分恨めない事実もあった。
思い出は時間がたてば美化されていくと言うけど、本当にその通りだ。
お母さんや雄大から受けた“嫌な事”は数えきれない。
けれど二人を思い出せば、脳裏に浮かぶのは楽しい思い出が勝るのだ。

