バイトが間もなく終わる頃。
キャップを被った、同じ年位の男が来店。
テーブル席に座り、コーヒーとドーナッツを前にスマホをいじっている。
いつもは顔なんて見ないけど、隼人の言葉を聞きよく顔を覚えた。
帰り道。
いきなり振り返ると不自然だろうと、自分なりに考えてコンビニに寄ると、ドリンクコーナーでさっきのキャップ男が僅かに視界に入った。
やっぱりそうだったんだ。
普段と変わらない様に振る舞いながら、玄関前に着いた時、何気なくマンションの下を見るとキャップ男はスマホを耳にあて、来た道を戻っていく姿を捉える。
今まで何で気付かなかったんだろう。
きっと雄大から言われてるんだろうけど、変質者だったら私今頃襲われてるよ。
危機管理能力が乏しい自分を情けなく思いながら、部屋の中に入り、しっかりと鍵を閉めた。

