「上野さん、休憩いっていいよ。遅くなってごめんね」
店長からそう告げられたのは2時前で。
はい、と返事をした後休憩室から裏に行く扉を開ける時。ちょっと手が震えて。
ギュッと唇を噛んだ。
暗示が効いてないのか。
太ももを叩いて、自分に渇を入れると、従業員出口から外に出た。
「お疲れ様」
「……ありがとう」
裏のごみ置き場の所でしゃがんでタバコを吸っていた隼人。
私が来ると携帯灰皿に吸い殻を入れて、デニムのポケットにしまった。
「麻衣ちゃんらしいよね。その格好」
「あ、へ?そうかな……」
「うん。パン屋って感じが」
髪の毛を1つに結んで、白い制服を着ているだけだ。
誰でもこの格好すれば、パン屋さんだよ。
ケーキ屋でも通じるかな。

