「オススメ、教えて下さい」
ニコリと微笑む姿に、ハッとして、隼人の瞳から視線を反らした。
周りを見ても……どうやら隼人は一人の様だ。
「く、クリームパンとメロンパン、あちらのクロワッサンの全種類は今なら焼きたてです。本日限定でクリスマスケーキをカットしたショートケーキもあります。ケーキだけはお持ち帰りは出来ませんが……」
ホールケーキの入れ物はあるけど、小さなケーキを入れる箱は用意しておらず、これも去年と同じ。
とりあえず、隼人の“オススメ”の言葉に従う事にした。
動揺をなるべく隠しながら、“お客さん”に対する態度を示す。
「へぇ。じゃあそれにしようかな。ありがとう」
「いえ。ありがとうございます」

