ドキドキが、部屋中に聞こえるんじゃないかってぐらい。
見つめられた瞳は鋭く私を射抜く。
「麻衣を拉致って何もなく帰ってこれてる姿を見ると、あいつらとしか思えない。黒邪気が犯すために麻衣を拉致ったなら、俺に情報が入らない訳がない」
物凄く居心地が悪い。
蛇に睨まれた蛙。
雄大の表情や態度から、考えが読めない。
「だろ?麻衣」
嘘は吐く必要がない。
ちゃんと話そうと決めて帰って来たからこそ、正直に言うべきだ。
例え……怖くても。
「うん。美舞の……」
ーーガン!!!!
“美舞”の言葉を出した瞬間。雄大が机を殴った。
思わず息を飲む。
言葉に詰まり、部屋が静まる。けど、私は続けなければならない。
既に汗ばんだ拳を更に強く握った。

