青空の下月夜に舞う 4


その瞬間。


ーー思いっきり腕を自分の方へと引き抜き……


「あ、」


弾かれた様に地面を強く蹴った。


足には自信があるもんね。



手首を下に振り下ろして、掴まれた腕を離すのは一瞬の助走が必要だから。

思いっきり引き抜けば、するりと外れた。


長袖だったのが幸いだな。

マンションの方へは曲がらずに、取り合えず直線に走る。

曲がる素振りを見せずに、急に曲がればまた直線に。
路地に入り、後ろを振り返れば目で確認出来る位の距離に男が。

もう2回曲がり、振り返るともうその姿は無かった。


はあ、はあ、はあ。


短距離だけじゃないもんね。自信があるのは。

呼吸を整えながら軽く走る様に足を動かす。