青空の下月夜に舞う 4


身長は慶太郎ぐらいか。

低くも高くもない。
笑顔を浮かべ、手首を掴まれたまま、男はジーンズのポケットからスマホを取り出した。


「あ、の……」

「あー、もしもし?居たよ居た。今捕まえてる」


私が声を出そうとすれば、スマホを耳にあてて。
直ぐに誰かと話し出した男は私の方を向かず話続ける。



誰なのこの人。

まさかの出来事に動揺する。

掴まれている手首を振り払おうと試みるけど、微妙に力を入れた時。


「ごめんね。この腕離せないんだよ」


掴んだ手に力を込めたのが分かった。

声に反応し、男を見るとニコリと微笑まれてまた電話の相手と会話を始めた。


「うん。今マンションの近く。一人で歩いてたよ。中川の情報本当なの?正に買い物帰りって感じだよ」