身長は慶太郎ぐらいか。
低くも高くもない。
笑顔を浮かべ、手首を掴まれたまま、男はジーンズのポケットからスマホを取り出した。
「あ、の……」
「あー、もしもし?居たよ居た。今捕まえてる」
私が声を出そうとすれば、スマホを耳にあてて。
直ぐに誰かと話し出した男は私の方を向かず話続ける。
誰なのこの人。
まさかの出来事に動揺する。
掴まれている手首を振り払おうと試みるけど、微妙に力を入れた時。
「ごめんね。この腕離せないんだよ」
掴んだ手に力を込めたのが分かった。
声に反応し、男を見るとニコリと微笑まれてまた電話の相手と会話を始めた。
「うん。今マンションの近く。一人で歩いてたよ。中川の情報本当なの?正に買い物帰りって感じだよ」

