いと、ゆかし






引っ張られたはいいものの、何をしろと言うのか。

しばらく首を傾げて、どこか遠くを見ていた先輩を、じっと見つめてみる。


と。



「また、だ」


またくるくる回り始めた先輩。

楽しそうに回ってるから、もうなんでもいいと思う。


私はとりあえず、ホットココアを飲み干して、砂場のふちに腰掛けた。

膝に肘を乗せて、頬杖をつきながら先輩を見る。



カラスが鳴きながら、頭上を飛んでいく。

辺りは橙色に包まれていた。



「……せんぱい」

「……」

「先輩、楽しいですか」

「……」