忘れちゃった、と言うと、彼はわかりやすく肩を落とした。



「俺の優しさ忘れんなよー」

「あはは、ごめんごめん。嘘だよ」



昇降口に着き、私達はそれぞれの靴箱へ向かう。

それでも、会話が止まることはない。



「いいよー、串カツ!私も串カツスイッチ入った」

「流石結梨」

「もっと褒めていいよ」

「調子乗んな」



どちらからともなく隣に並んで、校舎を後にする。

外には、私達みたいに教室に残っていた生徒や部活を終えた生徒が、他にも沢山いた。



そんな中で、私は前だけを真っ直ぐに見るの。

気付かないように、見ないように。

これ以上、カウント数を増やしたくないから。





串カツ屋を後にし、駅前のコンビニに寄った。

迷うことなくお菓子売り場に向かう私達。



「私これー!」

「うわ、またその甘ったるそうなヤツかよ」