姫と年下王子たち

本当は、他人である母さんのことを“あの人”や“その人”と呼んでもおかしくない。


「俺、今の財布に使い慣れてるから、替える気なんてねぇし。それに姉貴も、就職祝いに父さんから新しい財布買ってもらったとこだし」


俺の財布はブランドものではなく、どこにでも売っていそうなフツーの革の財布。


もともと、ブランドものなんかに興味はない。


姉貴は父さんから、ブランドものの財布を買ってもらった。