とある悪女の物語。






もちろん茉莉が飛び出して自分からナイフを握ったのだとは聞いた。けれどそもそもナイフ何て持ち出したユリが悪いに決まっているじゃない。




飛び出す茉莉も茉莉だけれど、きっと温情な茉莉はユリをどうにかしようと咄嗟に動いたに違いない。



ユリはただ脅すつもりなだけでもちろん刺すつもりなんてなくて、茉莉を傷つける気なんて頭にもなかったと泣き喚いていたようだ。けれど茉莉は傷ついているし、傷ついた茉莉は被害者だ。



あの場にいた黒崎さんの彼女も怯えていたもののユリを煽っていたと聞く。……ユリもあの女も加害者よ。




茉莉が一人で飛び込んで一人で怪我をしたと頭では分かっているのだけれど感情が追い付かない。



「……茉莉」



ともう一度呟いたとき。