とある悪女の物語。












しかし予想外の出来事が起こる。






「長い布で上腕か脇を縛れ」






いよいよ意識が危なくなった時、酷く心地いい声が響いた。








「…ひ、かる?」






「早く」







朦朧とする中倒れそうになった体を支えてくれた温もりに縋る。






酷く暖かくて、優しくて、愛おしくて、残酷で。






もう二度と触れることはないと思っていたこの冷たい温もり。







これは夢だろうか。







そうだ、夢だ。私がもう黒崎さんに触れることは出来ないのだから。






それでも夢なら、とその胸にすり寄る。






ふわりと懐かしい香りがした。








「……くろさき、さん?」





「________茉莉、少し耐えろ」












私はずっと望んでいた幻聴を聞いた気がした。








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