「……ちょっと、茉莉ホントに大丈夫?」
黒崎さんに彼女とやらが出来てから数日が経った。
日が経つごとに黒崎さんの冷たい手の感触が忘れられなくて、近くで見た瞳がどうしても忘れられなくて。
夜も眠れず食事も殆ど取らず、体調は悪化する一方だった。
朝の黒崎さんの出待ちに遭遇したくなくて二時間目の途中から来た私を見てサヤカは眉に皺を寄せた。
「茉莉保健室行っておいでよぉ」
サヤカだけでなくユリも綺麗に巻かれた髪を指に巻き、私に声をかける。
ユリはまさにギャル、という感じでバサバサの睫毛がよく目立っている。
サヤカは綺麗系のメイクで、ユリと仲のいいサクラちゃんやイオリはユリ系のバリバリのメイク。
そしてユリたちが黒崎さんの主な取り巻きだったりもする。
ファンクラブなんてもの作ってるんだから相当だ。
寝不足でよく回らない頭で考えることはそんなことだった。
「……そうする」
来て早々、って気もするが正直教室にいるメリットはない。
この学校は所詮バカ高だから授業が早いわけでもないし、授業を真面目に黙って聞いている人種の方が少ない。
家だと考え込んで睡眠なんて碌に取れないけど、保健室なら少しは寝れそう。
それに黒崎さんの噂が絶えない空間にいたくなくて、教室を出た。


