わたしは年下の幼馴染に振り回されています

「付き合ってないよ。ただの幼馴染だから」

「そうなんですか。よかった」

 二人は顔を見合わせ、互いに意思を確認しているようだった。

だが、何気なく振り向いたショートカットの女の子の動きが止まる。

他の子もその異変に気づいたのか後方を見ていた。

わたしも促されるようにして、後ろを見つめていた。

その理由はすぐにわかる。拓馬が立っていたのだ。

 彼は視線に気づいたのか、右手の人差し指でかるく頬をかく。

「失礼しました」

 彼女達は誰に言ったか分からない言葉を残し、あっという間にその場から去っていく。

 動けないわたしに拓馬が歩み寄ってきた。

「これ、預かったままだったから」

 拓馬が渡したのはわたしのお弁当が入った袋だった。

彼はそれをわたしの手に握らせると、先ほど彼女達の歩いた道筋をなぞるように歩いていった。

そのときの拓馬の表情はわたしの知っている少年だった彼のものだった。