拓馬の教室の前まで行き、別れを告げる。
何も言わないわたしに心配そうな顔はしていたが、具体的に何かを聴くことはしなかった。
廊下に入っていく彼を見送り、階段を上ることにした。
今日は珍しく廊下で顔見知りには合わなかった。
だが、教室の前に来たとき、自然と足は止まる。
教室の前に見たことのない三人の女の子の姿を見つけたからだ。
わたしが足を止めたのは三人の上履きのラインの色だった。
黄色の拓馬と同じライン。
ここ数日のことを思い出し、重い頭を抱えながら、気づかない振りをして教室に入ろうとした。
そのわたしの通行を一人の少女が妨げる。何かを言う前に彼女のするどい瞳がわたしを射抜く。
その子が拓馬と再開した日にわたしをじろじろ見ていた子だということを思い出していた。
「坂木先輩は拓馬君とつきあってないんですよね」
語尾をわずかにあげているが、疑問として問いかけているというよりは微妙にあがらない語尾に彼女の気持ちの強さが含まれている気がした。
違うと言おうとしたが、昨日の拓馬の表情がよみがえり、一度言葉を飲み込む。
だが、否定しないということは事実を捻じ曲げるということで、わたしの性格ではそんなことは耐え難いことでもあった。
何も言わないわたしに心配そうな顔はしていたが、具体的に何かを聴くことはしなかった。
廊下に入っていく彼を見送り、階段を上ることにした。
今日は珍しく廊下で顔見知りには合わなかった。
だが、教室の前に来たとき、自然と足は止まる。
教室の前に見たことのない三人の女の子の姿を見つけたからだ。
わたしが足を止めたのは三人の上履きのラインの色だった。
黄色の拓馬と同じライン。
ここ数日のことを思い出し、重い頭を抱えながら、気づかない振りをして教室に入ろうとした。
そのわたしの通行を一人の少女が妨げる。何かを言う前に彼女のするどい瞳がわたしを射抜く。
その子が拓馬と再開した日にわたしをじろじろ見ていた子だということを思い出していた。
「坂木先輩は拓馬君とつきあってないんですよね」
語尾をわずかにあげているが、疑問として問いかけているというよりは微妙にあがらない語尾に彼女の気持ちの強さが含まれている気がした。
違うと言おうとしたが、昨日の拓馬の表情がよみがえり、一度言葉を飲み込む。
だが、否定しないということは事実を捻じ曲げるということで、わたしの性格ではそんなことは耐え難いことでもあった。