そんなことを言われて、応える子はなかなかいないんじゃないかな。特に拓馬に好意を持っている子なら尚更だった。
「市井さんには聞いてみた?」
「あいつはあんまりそういう噂には興味ないみたいだから、聞いてない」
きっと知っていたら教えてくれそうな気がするけど、拓馬はどこか抜けている。
だが、これ以上、拓馬が変なことを言いふらさないために、本当のことを伝えることにした。
「その噂の相手、拓馬のことだったんだって。噂の発端は奈月」
拓馬は意味が分からなかったのか、眉間にしわを寄せる。
わたしは昨日、奈月から聞いた分を含めて、彼にかいつまんで話す。
彼も奈月と噂になったことに身に覚えがあったのか、納得したようにうなずいていた。
「だからみんな困った顔をしていたんだ。言ってくれればよかったのに。原因を聞いて納得したけど」
「違うって言っておいてよね。人に聞かれたらでいいから。ただの幼馴染だって」
「聞かれたらね。でも、ただの幼馴染だと思っていないから、否定するのは難しいかもね。もっとも、近いうちに否定しないですむようになればいいけど」



