わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 そう口にした彼は寂しそうに笑っていた。

 拓馬からお弁当を受け取ることにした。黄色と白のチェックがプリントされているお弁当の蓋を開けると、いつもよりも豪華なおかずが並んでいる。

「おばさんって本当にすごいね」

 拓馬がそう口にしたのは自分の弁当を見たからではない。彼の手元にも同じ弁当があったのだ。拓馬が毎日お昼は学食か、パンを食べていると聞いた母親が一人分増えてもたいしたことがないと弁当を持たせたのだ。

「いつもは誰と食べているの?」

「学食に行くときは市井かな。さっきの奴。今日はパンにすると言っていたけど」

 いつも一緒に食べていたことを邪魔してしまい、申し訳ない気がした。

「別にあいつは気にしていないと思うよ」

 わたしの気持ちに気付いたのか、拓馬は大げさに肩をすくめる。そして、赤く熟れたトマトを口に運ぶ。彼はそのトマトを食べると、今度はごはんに箸を伸ばした。

「何人かに美月の言っていた人のことを聞いてみたんだけどさ、分からないって」

「聞かなくていいって言ったのに。何て聞いたの?」

「三年の坂木先輩と噂になっている人って誰か知っているって」