「だから私はその人のことを見たことも、話したこともないんだけど」
それどころか名前も知らない。だから、佳代はあえて話が通じるようにかっこいい人と言ったんだろう。
名前を聞いてもだれそれ状態だからだ。
「美月に彼氏はいないよ。私が言うんだから間違いないって」
何か言おうとした佳代の言葉は背後から聞こえてきた言葉にあっという間にかき消される。
まだ、眠気の漂う頭でゆっくりと振り返る。
すると、そこにはスレンダーな体に長い艶のあるロングヘアをした女生徒の姿があった。
彼女は目を細めると、わずかに首を傾げて微笑んでいた。松方里実だ。
はきはきとした口調はひなびた体をしゃんとさせるほどの力強さがある。
佳代も田中くんも心なしか背をピンと伸ばしているような気がした。
「里美が言うならそうなのかな。じゃあ、奈月ちゃんと付き合っているのかな」
最初は残念そうに言っていた彼女の口元が言葉の最後には歪んでいた。
そして、笑顔で田中を見るのを見逃さなかった。
「本当、変な期待をさせてごめんね。奈月ちゃんだったみたい。その人と付き合っているのを隠したくて美月の名前を出したのかも」
隠したくてというのは彼女に限って考えられない。
だが、噂が面倒で、わたしに押し付けたというならありえるだろう。
「傷をえぐるようなことを言うな」
それどころか名前も知らない。だから、佳代はあえて話が通じるようにかっこいい人と言ったんだろう。
名前を聞いてもだれそれ状態だからだ。
「美月に彼氏はいないよ。私が言うんだから間違いないって」
何か言おうとした佳代の言葉は背後から聞こえてきた言葉にあっという間にかき消される。
まだ、眠気の漂う頭でゆっくりと振り返る。
すると、そこにはスレンダーな体に長い艶のあるロングヘアをした女生徒の姿があった。
彼女は目を細めると、わずかに首を傾げて微笑んでいた。松方里実だ。
はきはきとした口調はひなびた体をしゃんとさせるほどの力強さがある。
佳代も田中くんも心なしか背をピンと伸ばしているような気がした。
「里美が言うならそうなのかな。じゃあ、奈月ちゃんと付き合っているのかな」
最初は残念そうに言っていた彼女の口元が言葉の最後には歪んでいた。
そして、笑顔で田中を見るのを見逃さなかった。
「本当、変な期待をさせてごめんね。奈月ちゃんだったみたい。その人と付き合っているのを隠したくて美月の名前を出したのかも」
隠したくてというのは彼女に限って考えられない。
だが、噂が面倒で、わたしに押し付けたというならありえるだろう。
「傷をえぐるようなことを言うな」



