胸を高鳴らせながら玄関の扉を開けると、玄関を出ると明るい笑顔に出迎えられる。

「おはよう」

 わたしは胸を高鳴らせながら挨拶をするが、彼はいつもと変わらない笑顔を浮かべていた。

 あのままメールなどのやり取りもしていないため、まだ恋人になったという実感は薄い。

「行こうか」

 彼は優しく笑うと、歩き出す。

 わたしは少し先を歩く拓馬を、手を握り締め呼び止めた。

「拓馬のこと好きだと言ったけど、受験だから、デートとかはできないと思うの」

 わたしの言葉に拓馬は笑っていた。

「そんなのどうでも良いよ。美月が無理なく、一緒に居てくれるならそれが一番嬉しい」

 わたしは彼の言葉に嬉しくなり、頷いた。

 だが、周りから笑い声と、言葉が聞こえる。

わたしたちを微笑ましいと言うものだったが、恥ずかしいことには変わりない。

 わたしは拓馬の手を取り、早くいこうと急かした。