わたしは年下の幼馴染に振り回されています

「鈴木のことかな」

 拓馬は苦笑いを浮かべた。

「誰?」

「前、同じ中学だった人で、夏休みからこっちに越してきたらしいんだ。それで連絡をもらって何度か会ったことある」

「でも、親しそうだったから。それに言ってくれなかったでしょう。彼女に会った、と」

「そうだっけ?」

「そうだよ。だからわたしは拓馬に何も聞けなくなった」

 拓馬が笑うのが分かった。

「ごめん。そこまで深刻に考えているとは思ってもみなかった。美月がクラスメイトにスーパーで会っても俺にわざわざ言わないだろう。それと同じ感覚だったんだよ」

 言われてみるとそうだ。例えば佳代に会ったとしても拓馬にわざわざ言ったりはしない。

「美月は早とちりしすぎなんだよね。まあ、本人から否定してもらいたいなら、してもらってもいいよ。向こうも美月に会いたがっていたからね」

「どうして? わたし、知らない人だよ」

 彼はわたしの良く知る彼になっていた。悪戯っぽく、少年のような瞳。