わたしは年下の幼馴染に振り回されています

「じゃあ、下の部屋で待ってようよ。今から着るらしいから」

 拓馬は奈月の言葉に賛同したのか、下にいると言い残すと本を片手に部屋を出ていく。
 そして、わたしだけが部屋に残され、浴衣をじっと見つめる。

「受験でそれどころじゃないのに」

 それどころではないが、断りにくい部分はある。

それに新しい浴衣に興味はあった。

奈月程似合うとは思えないが、好奇心を胸に手を伸ばす。

浴衣を体に当てると、それを着る事にした。


 リビングに行くと、奈月と拓馬の笑い声が漏れる。

わたしはリビングのドアノブをひねり、ゆっくりあけると顔をのぞかせた。

 奈月と拓馬が隣に座り、その正面には千江美が少し物憂げな表情を浮かべている。

 浴衣に身を包んだ奈月はとても中学生には見えない。奈月のような容姿をしていたら、ここまで拓馬との関係に引け目を感じる事はなかったかもしれない。