わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 奈月は紫のアジサイの浴衣に身をつつみ、千江美は藤の花が描かれた浴衣を着ていた。

「お母さんが買ってきたのよ。面倒だけど着てみた」

 彼女は部屋の中を一瞥すると、わたしを見る。

「お姉ちゃんの浴衣も買ってきたんだって。どうせなら今日、着ていけば?」

「行かないよ。そんなの行っている場合じゃないもん」

 今日はこの辺りで大きな花火大会が開催される。わたしたち姉妹はあまりそうしたものが好きではないが、母親が専らのお祭り好きでこうしたものには抜け目がない。

「もったいない。拓馬も見てみたいと思うでしょう?」

 奈月はいたずらっぽく笑うと自分と色違いのピンクを基調とした浴衣を差し出した。

拓馬はその言葉に動揺する素振りもなく、笑顔を浮かべる。

「見たい。きっとめちゃくちゃ似合うよ」

「バカ。何を言っているのよ」

 恥ずかしさもあるがそれ以上に、拓馬を好きだと言っていた千江美の前でそんな話をするのは無神経なのではないかと思ったからだ。