わたしは年下の幼馴染に振り回されています

「何かあったら呼んでね。お母さんでも奈月でもいいから」

 わたしは無言の彼女に会釈し、ドアに触れる。

「あなたのこと大嫌いだったけど、あなたみたいに一つのことしか考えられなくなる単純な思考回路は少しうらやましいです」

 彼女は相変わらず顔を背けていた。

 彼女の嫌いという言葉が過去形になったことに気づきながらも、またそんなつもりはないと軽く突っ込まれそうで、お礼を言うと部屋を出る。

 そこで奈月と鉢合わせをする。奈月が和室を指したので、頷いた。

 階段をあがったとき、奈月が口を開く。

「何も言われなかった?」

「大丈夫だよ」

 心配そうな顔の奈月と別れ、部屋に戻った。

 携帯には拓馬からのメールが届いていた。そこには千恵美とわたしを気遣う文面が綴られている。彼女がわたしを傷つけないのか気にしているのだろう。

 そんな優しさを嬉しく思いながらも、彼女の気持ちを考えると自分勝手ながらいたたまれない気分になってきた。