わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 わたしと拓馬が同時に声をだす。そんなわたしたちを奈月はさっと見渡す。

「わたしも帰るよ」

 足元に置いたバッグに手を伸ばそうとすると、奈月にさっと腕をつかまれた。

 すでに自分のバッグを持った彼女に家の外に連れて行かれ、そこで腕を解かれた。

「一緒にいてあげれば? 拓馬は病人なんだから」

「だったら奈月も」

「拓馬だって二人もいたら気を遣うでしょう。わたしのことは気にしなくていいから」

 彼女はわたしの肩をぽんと叩く。

 これだとどちらが姉なのかもよくわからなくなる。

 彼女はそのままエレベーターに消えていく。その間、一度も振り返らなかった。

 彼女らしいといえば彼女らしい。

 ドアを開け、家の中に戻る。紅茶を飲む拓馬と目が合う。

「奈月は帰るって。もう少しだけいていい?」

 彼は小さな声で返事をしていた。