休み明けの朝、彼はいつもどおりにわたしを迎えに来た。今までのような複雑な気持ちはほとんどなかった。人に視線も不思議と気にならなかった。


 他愛ない話をし、学校に到着する。わたし達が靴箱で靴を履き替えようとしたとき、聞き覚えのある声が響いた。

「拓馬」

 思わず振り返ると、そこには拓馬と同じクラスの可愛い男の子が立っていた。彼はわたしに気づいたのか、頭を軽く下げる。

「あ、悪い。後からでいいよ」

 彼はわたしに気付いたのか、そう付け加えるようにして言う。何か用があったんだろう。

 わたしは拓馬の肩を軽く叩く。

「わたしは先に行くね」

「分かった」

 拓馬もその事情に気づいたのか、それに応じていた。

 わたしは昇降口で靴を履き替える。拓馬達は言葉を交わした後、靴を上靴に履き替えてはいたようだが、教室とは違う方向に向かっていた。

 わたしは教室に向かうことにした。

 だが、視線を感じ、本田さんがこちらを見ていたのに気付いた。