わたしは年下の幼馴染に振り回されています

「何かあった?」

 彼の言葉が体に吸い込まれていくような気がした。

「別に」

 そう言ってやり場のない視線を足に向ける。拓馬から顔を背ける。そのとき、わたしに絡まった腕の力が強くなる。

「そんなに頼りない?」

 いつもの自信に満ちた声とは違う、どこか落ち込んだような声だった。

「そうじゃないよ。そうじゃないけど」

 簡単なことなのに、それがやけに重くて、わたしは口に出せなかった。

「俺さ」

 そのとき、玄関の開く音が響く。

わたしの体に触れていた拓馬の手が離れる。わたしの体は反射的に流し台に向かう。

リビングの扉が開き、振り返ると、そこには買い物袋を持った母親の姿があった。

拓馬はいつの間にかソファに座っている。

さっきまでわたしに抱きついていたとは思えない。

「いらっしゃい。今日は泊まっていくんでしょう」

 母親の言葉に笑顔で応えていた。