わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 彼女の口からわたしの名前が出てきたことに素直に驚いていた。

だが、少し考えると彼女が知っていても不思議ではない。

拓馬から聞いたか、もしくは噂で知ったのか、その二択だろう。

「わたしは本田翔子といいます」

 彼女は満面の笑みで言葉を続ける。

 彼女の名前には聞き覚えがあった。

それは拓馬の学年でもてる子の話をしたとき、拓馬の口からすらっと出てきた名前だったのだ。

まさか女の子の名前だとは思わず軽い嫉妬は覚えるが、名前が出てきた理由も分かる気がした。

 いい意味でお人形さんのような子だった。

顔の基盤が普通の人とは違うのではないかと思うほどだった。

ぱっちりとした瞳に、上を向いた長い睫毛。ふっくらとした赤い唇。

すらっと伸びた手足。彼女の顔やスタイルに文句をつけるなら、嫉妬でしかないだろう。

それほど完璧だと思わせるような子だ。

 そのとき、拓馬の携帯が鳴る。拓馬は「悪い」と言うと、わたし達から少し離れた水飲み場のところで電話を取っていた。

彼の声は定期的に大きくなるグラウンドから聞こえてくる掛け声によって掻き消され、誰とどんなことを話しているのか伺うことさえできなかった。