わたしは年下の幼馴染に振り回されています

「拓馬君」

 わたしは思わず彼女の顔を確認していた。

昨日の彼女を見たときのように心臓の鼓動が乱れるのが分かった。

彼女はあまりにまっすぐな瞳で拓馬を見ていた。真剣さが伝わる。

 拓馬は目を見開き、彼女を見ている。彼女の次の言葉を待っているようだった。

「わたしも一緒に帰っていいかな」

 その言葉に拓馬が一瞬、返事に詰まるのが分かった。

同時に昨日のことを思い出す。

拓馬のあの表情は彼女が一因だったのだろうか。

「ダメかな」

 彼女はそういうと、首をわずかに傾げる。かわいいけれど、自信がないのかどこか物憂げに見える。

 拓馬はわたしに判断を委ねたかったのか、わたしを見る。

帰りたいと言っている女の子を、それも拓馬のクラスメイトを安易に断ることはできなかった。彼には彼の人間関係があるのだから。

「いいよ」

 わたしはそういうと、拓馬の腕を引く。

「ありがとうございます。坂木先輩」

 彼女は笑顔を浮かべる。