わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 二人の姿が門の向こうに消え、辺りが夕焼けに飲み込まれたようにしんと静まり返っていた。

いつものようにわたし達をじろじろと見る人もいなく、時折グランドでランニングをしているサッカー部の掛け声だけが響いていた。

今日の朝のことを彼に何かを言うべきか迷っていたとき、そんなわたしの迷いとは正反対の凜とした声が響く。

「拓馬君」

 そこには腰までふんわりとした髪を伸ばした女の子の姿がある。そのこを見て、思わず声を上げそうになった。

 彼女はちらっとわたしを見ると、軽く会釈をする。再び拓馬を見ていた。

「ごめんね。これ、借りていたノート」

 彼女は手にしていたノートを差し出す。拓馬はそれを受け取ると鞄に収めていた。

「じゃ、明日」

 彼女は拓馬に手を振ると、もう一度笑った。

彼女は何かを言いかけようとした言葉を引っ込めていた。

拓馬はそんな彼女を気にすることもなく、彼女に対して背を向けていた。

後ろ髪引かれる思いで拓馬の後を追おうとしたとき、少女の声が響く。