わたしは年下の幼馴染に振り回されています

 里実はそう言うと肩をすくめる。わたしの迷いに気づいていたのかもしれない。

 二人にお礼を言うと、拓馬のところまで行くことにした。

高鳴る鼓動を押さえ、どう自然に彼に話しかけようかだけを考えていた。

彼との距離が三歩ほどに狭まり、その名前を呼ぶ。

 彼は振り返ると、目を細めていた。

その笑顔にほっとして、言葉を続ける。

「帰らないの?」

「クラスメイトを待っているんだ。貸していたノートを教室に忘れたらしくて」

「一緒に帰る約束をしていたりする?」

「それはないよ」

「待っているから、一緒に帰らない?」

「でも、もう少し時間がかかるかも」

 彼は顔をあげて立ち並ぶ教室を眺めていた。

「いいよ。わたしも一緒に待っている。昨日、待っていてくれたお礼」

 わたしの言葉に拓馬は笑顔を浮かべていた。今朝の少年のような表情を払拭できた気がして、ほっとしていた。

「じゃあね、美月」

 振り返ると、佳代と里実の姿があった。

わたしは二人の言葉に笑顔で応えていた。わたしが拓馬を誘うのを待っていてくれたのだろう。