「俺、右手は無事だから右手だけで弾いてみる?」
っと、田中くん
「だったら、アカペラの方が格好が良いと思うよ?」
田中くんの提案に対してサキちゃんが言う
うん、そうだよね
片手のピアノ演奏じゃ…ね?
「ねぇ、誰か弾ける人いない?」
サキちゃんがクラスメイトに尋ねる
が、皆は静かになるだけ
もちろん、私も弾けない
むしろ音符を読むので精一杯
しかし、私は知ってるよ
「ねぇ、郁くん」
私は郁くんの制服をクイっと引っ張る
「郁くん。できるよね?ピアノ」
幼稚園の時、郁くんはピアノ教室に通ってたハズ
「え?!藤野くん、出来るの?!」
サキちゃんが食い付く
すると、郁くんは諦めたようにため息を吐いた
「まぁ…多少は」


